パキスタン
2023年2月13日~3月7日
ペシャワール到着後、実質初日からティプという超強力な助っ人が登場し、
実質何のツテも無い現状、彼を信用して、うまく行くことを信じるしかない!
昨夜は彼の自宅からホテルまで送ってくれたが、今朝はまず彼の家の近所の駅までバスで来てくれ、
とのことで、どうにか到着。
ローカルだな~
100%ここら辺には外国人は自分しかいない笑
しかし、ローカルな公共機関を利用することでその土地の庶民の空気感を感じる。
ただでさえ観光客が全くいないパキスタンで、なおかつ自爆テロが最も行われていたペシャワールに珍しい東洋人、
しかもやけにデカく怪しい風貌にみんな凝視はしてくるが、物売りや物乞いが来るわけでもなく、
カラチよりイスラム感が強いのと、パシュトゥーン人特有の戦闘民族特有の誇り高きヴァイブスで、
あまり関わろうとしない。
ぱっと見、無愛想に感じるが、話せばとても親切なのは、東北の人達の様?
そんなMrパシュトゥーン人のティプの一家が普段から関わる近所のモスクにまずは一緒に行こうと。
正装の服まで貸してくれて笑
長男、次男と。
ローカルだがとても大事に綺麗に使われている気持ちの良い場所。
昼ごはんもご馳走になり、男四人で食す。
どれも素朴で美味い。
その後街に出て音楽情報を。
というのも昨日演奏を聴かせてくれたグループは忙しいのか、レコーディングは難しいようで、
(そこらへんの細かい事情はパシュトゥン語を喋れないと状況は読めないし、ティプの采配にかかってる)
ミュージシャン探しは振り出しに。
その一環でティプの甥っ子でニューヨーク在住のシャーという奴とも会う。
いきなり
『ワッツアップメーン』
いきなりのUS感に思わず吹いてしまったが笑
なかなか悪そうな奴で、故に音楽もちゃんと尖ってるのを聴いてるっぽく、
自分の作ってる音を聴かせると、
あーこういう民族楽器とヒップホップのビートが混ざったやつ、俺も好きだよ
となり、逆に色々教えてくれた。
いきなり駐車場でスモークしてくるし、いよいよきたな
となりつつ、彼の知り合いのミュージシャンのページを紹介されるも、良くも悪くもプロって感じで、
民族楽器も弾けるけど、どっちかというとエレキギターの方が好き、みたいな感じで、
うーん、そういう感覚の現代らしいミュージシャンより、無骨な、素朴な、それしか出来ない、
みたいな演奏者の方がいいな~と、選択肢が与えられることで、自分の求めてるものも徐々に明確になってくる。
ともかくパキスタンへの出航前に東京の先輩イッチャンこと石井さんから頼まれた
パシュトゥン帽子ことチトラル帽を手に入れておきたいとティプに伝えると快く付き合ってくれ、
なおかつ超値切ってくれ、
初日に行った楽器修理屋?の近くにあった帽子屋で値段を聞いた額の約1/10!!!
あの野郎相当ボってたな!って気づきと、観光客には容赦ない価格で迫ってくるココのリアリティーも再確認。
ともかく土産はまず用意できた。
土産は大抵最終日に買うことが多いが、今回は指定されていたし、
焦らず買えて良かった。
で、うちにミュージシャンを呼ぶから聴いてみて、
よかったら録音の交渉もしてみよう、ということになり、
またティプ邸に。
彼自体が『俺はライオンだ』と言っていたが、この様なレゲエ的な?
ステッカーとかにその昔はやんちゃな遊びもしてたのかな?
みたいな。
とにかく親近感。
しかし
こんなナイフというか剣を飾ってるところに、
ナメたことしたら殺すけん、みたいな。
ヤンチャじゃ済まされない、、
日本で言ったら日本刀を居間に飾ってるって結構ヤバい奴でしょ?笑
これは実用品では無いが、出会って早々50丁までのガジェットを持てるライセンスを持ってるって、
絶対どこかに実用品も持ってるってことは間違いなし。
それでもこの娘とのラブラブな世界!笑
自分は息子しかいない、と言うと絶対娘を持ってほうが良いと言われたが、
https://youtube.com/shorts/MPWMFkxaSF8?feature=share
まんざらでもなさそう笑
程なく
ミュージシャンが到着。
甥っ子シャーも合流。
奥の寝室にみんなが通され、演奏が始まる。
良いとは思うが、
ちょっとパンジャビっぽさが強く、パシュトゥン感が足りないというか。。
つまりアフガニスタン感、ホラサーン(https://ja.wikipedia.org/wiki/ホラーサーン)感が
もっと感じれたら嬉しいと思ったことをティプには後で伝えたが、
ともかく演奏後一緒にお茶を飲み、ティプから支持されたお捻り(ギャラ)を渡す。
感覚的には2000円くらい?
現地価格ではもう少し安いと思うが。
また後日連絡します、と彼らとは別れ、今度はイスラムのセレモニーがあるからそれに一緒に行こうと。
https://youtube.com/shorts/mZPQnwOncww?feature=share
でも信仰心が薄いシャーは俺はいいや、
みたいな感じでティプと二人で参加。
ただの石ころを触りながらアッラーアクバル(神は偉大なり)とひたすら唱える修行?
https://youtube.com/shorts/-6UyQR1GHYw?feature=share
その後段々とその声明は一体感を増し、
最終的には合唱のトランス性の中、
恍惚としながら、皆で食事をした。
https://youtube.com/shorts/s-LtbptojWY?feature=share
この感覚はエジプト、カイロでも体験したやつだ。
合唱はほんとすごい。
ともかく食事の後、またシャーと合流。
https://youtube.com/shorts/thKTPOVl0e4?feature=share
彼は飯を食ってないのでどこかで食おう、奢るから。
みたいな感じで三人で食事。
このレコーディングでも儲けようぜ!
日本はどうなのよ?
みたいな感じで、、笑
THUGライフを自分のプロジェクトに期待されても困るな、と思いつつ、
夢は大きく持つのはいいことだとも思った笑
ひとまず今日は解散し、明日またミュージシャン探しをしようと別れた。
そして、この地ペシャワールを知ったきっかけであり、
自分にとって本当に尊敬する人物であった故中村哲氏の話をして、
氏が働いていた病院にも是非行ってみたいと伝える。
実はそこに関して既に福岡のペシャワール会事務局まで連絡はしていて、
現地の情報をわかる人(現地からは日本人は全て撤退済み)の連絡先は聞いていた。
なので、今ペシャワールにいまして、是非病院に訪問したく、
と日本人女性に電話で話すと、住所と責任者のイクラムさんのWhstsAppの番号を教えてもらい、
かけてみるが、ティプにそれを伝えても、なかなか迷いまくって大変だったが、
どうにか到着!
想像していたよりもだいぶ大きい!
中村哲さんが殺されてまだ2年も経ってない状況で、外国人が来ることも、
ましてや日本人が来ることも珍しいだろう。
それでも真摯に対応してくれた。
ちなみにティプは中村哲さんのことを知らなく、(パキスタンで知ってる人はほとんどいない様、、、)
自分から英語で説明したり、ウェブで見せたりしたが、
ここの職員さん達に哲さんの説明を現地の言葉で聞いてから、明らかに敬意を感じてくれた様。
16時で閉館はしていたが、案内してくれた。
https://youtube.com/shorts/gUJs5_MLxKM?feature=share
ちょうど自分がパキスタンに入る1ヶ月前に起きたこの事件
https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-64450030
は後にちょっとした影響も受けるが、
例えば2022年でもパキスタンでのテロは262件。。
ここペシャワールでの自爆テロが最も多かった時期は2002年から2010年と聞いた。
(つまり上記の数以上、、、)
多くは旦那や妻や子供を失った貧しい人たちが、武器を提供するものから100ドルくらい与えられ、
それを残されたものに託し、自らは自爆していったと。。
この病院でも多くは身寄りのない母子が、その被害に遭い、
墓もないので、共同墓地も裏に建設をしてる、と言う。
今は静かだが、漂う死の気配。
https://youtube.com/shorts/WJlszC0bfPk?feature=share
そして、、
https://youtube.com/shorts/TtjMXrdMMZI?feature=share
ちょっと涙が出そうになった。
本当に哲さんの気配をパキスタンで初めて感じれ、ちゃんとリスペクトされてること、
その証が見れて胸が熱くなった。
下記の
Today Is Your Opportunity to Build the Tomorrow You Want.
という言葉にも感動した。
絶望的な状況から、生まれた言葉。
特に子供達には『良い未来』をイメージしてもらいたい。
それには自分たち、大人がイメージしなくては、、
この場所で得られたインスピレーションは結果的に多かった。
https://www.youtube.com/shorts/JNQmed_YNa4
上記は先述した無縁仏を埋葬する共同墓地の建設現場。
最後に写真を撮った。
彼らからも『ありがとう』と言われたし、
自分も伝えた。
ティプも色々感じたらしく、二人の中で何かを共有できた感。
自爆テロがここで盛んだった時の話をテイプから聞きながらバイクで市街地に戻る。
https://youtube.com/shorts/duiKLQUef1g?feature=share
途中で結構厳重なアーミーの検問があり、外国人を乗せたティプが尋問されたり、
今だに緊張感が漂う。
https://youtube.com/shorts/J-8iTplR1oI?feature=share
昔、自分が13歳くらいの頃、
オウム真理教というカルト宗教団体が、
地下鉄にサリンという毒薬をまいて大変な事件になったことを思い出したが、
あんな感じの事件がこの街のいたるところ、特に米兵が駐屯していたその時期は酷く、
いきなり日常が血の惨状になる、ということで、
いつどこでそれが起きるのかわからない、不安、
家族がそれに巻き込まれる不安。。
恐怖の感染。。
ウイルスどころじゃない。。
https://youtube.com/shorts/RIUB7gKxoRk?feature=share
ともかく
カムランという、また笑、ティプの親戚の人の事務所でお茶とスナックをご馳走になる。
彼自体はティプと同じように靴関係の仕事をしていて、パキスタン全土で展開してるみたい。
とても真摯な人で好感。
この芋?のマッシュポテトみたいな美味かったな。
下記は本当にトヨタ車かわからんが、旧車を綺麗に乗ってるので好印象。
キューバを思い出す。
新しいものに取り憑かれた現代社会とは違う、
良いものを大事に使う、という基本精神が好きだ。
またティプの家に行く前に明日のレコーディングが決まったと。
で、お前の服、見窄らしいから、俺がシャツを買ってやる。
とまた笑、親戚の
服屋に連れて行かれ、選ばされる笑
が!
どれもダサイ笑
でも、今まで色んな所に行ってきたが、会って早々で、そんなこと言われ、
服を買ってもらうのは完全に初めて。
というか普通ないよね?
ともかくティプ邸に到着。
でその服を着せられ、自分の刺青も隅々までチェックされ、
『悪くないな』という感想も頂き笑
しばしお茶。
とにかく毎日ティプ邸にちょこちょこ寄って休憩という日常に笑
幼馴染の家感 笑
そして、なんだか娘のファティマは自分のことを気に入ったらしく、とてもなつく笑
自分の娘じゃなくてもSweet過ぎて、とろけてしまうが、これが実の娘だったら、、The End.,.
そんなSweetと一緒にスィーツを買いに行った笑
https://youtube.com/shorts/c_V_ZwLcsTk?feature=share
日本で言ったら成城石井的なセレブ用のスーパー?
https://youtube.com/shorts/DRIavszHNa0?feature=share
すごい量!
酒を飲まない文化だからこそ、甘いもの、要は糖分というドラッグは必要なわけで、、笑
https://youtube.com/shorts/ObTgyLNRsjk?feature=share
ドラえもん発見!!!
ドラえもんがココでも子供に大人気!笑
色々甘いものを食べて今日は解散。
リキシャでホテルに戻る。
翌朝、いよいよペシャワールでの初レコーディング。
またもバスでティプの家の近所まで向かい、
昼食をご馳走に。
奥さんは結局1度も会わなかったが、相当お料理上手!
先述した通り、街で女性がほとんどいないパキスタンで外食しても男しか働いていないので、
家庭でしか女性の作るご飯は食べれない!
その美味さにうちひしがれる笑
チーズも自家製!
美味しい!
そして録音現場に到着!
赤い帽子を被ったオマールが今回のメインプレイヤーとなる。
https://youtube.com/shorts/2Hv0_sKOryw?feature=share
シャーも合流し、こちらの要望を伝えてくれる。
オマールはお爺さんがアフガン戦争時にアフガニスタンからペシャワールに避難してきたらしく、
自分自体はアフガンに行ったことはないと言う。
https://youtube.com/shorts/O-kGMJXEVA8?feature=share
彼の顔からも、その奏でる音からも『悲哀』を感じる。
そして『郷愁』
サウダージとかブルースとか、音楽のジャンルというより、
その気配や雰囲気を継承する音楽用語があるが、
それはどの国にもあるし、それを柔らかく言えば
メランコリックとかムーディーとかいうのかもしれない。
https://youtube.com/shorts/1cKhKXK24KI?feature=share
今回で改めて想ったが、自分が求めてる音とはテクニックではなく、見た目の派手さでもなく、
その音の奥にある『気高さ』みたいなものを感じたいと願っているようだ。
ある意味、それはどんな楽器、声、機材でもいい。
演奏したフレーズがうまく弾けてなくても構わない。
勿論上手いに越したことはない。
でも重要なのは、その音の奥にどれだけの感情を抱えて、それが今という時に奏でられ、
時空を超えた感情になれるか。
一個人の思考や状況を超えて、この悲惨な現状から幽玄な、
ある意味神秘的とも言える領域まで、連れていってくれるような音を。
録音開始からティプが演奏者やその周りに、 コイツは中村哲というアフガニスタンから避難してきた人達の 診断、治療を無償で数十年行ってきた日本人医師に2001年、空爆の最中、100万近くの金を集め募金した。 その医師は去年ペシャワールでパキスタン人によって銃殺されてしまった。 という内容を伝えてくれたようで、それによって彼らの自分に対する態度が明らかに変わった気がした。
その時、2001年、20年以上前に自分が無償で行った行為が、時を経て返ってきた気がした。
当時、長男がサンフランシスコで無事生まれ、ニューヨークへ移住する手筈を整えるために日本で動いてる時に9.11が起きた。 平気でアメリカ、及びNATOに追従する形で自衛隊をアフガンに派遣した小泉政権。 その彼らの尻軽さに霹靂し、仲間達と何かをやろうと起こした『和プロジェクト 』。 自分もまだ26歳になったばかりで、今思えば若かった。 ある意味『闇雲な行い』だったとも思う。 でも 良いことも悪いこともちゃんと後で返ってくる『因果応報』という仏教で重要な言葉は、 二十歳過ぎてからその重みは段々と増し、24歳の時には『全ては見られている』と確信した。 今も自分は聖人とは言えないのは間違いないが、それでも善行は返ってくるんだと、ココ、ペシャワールで確信した。
ちなみにNAKAMULLAHから借りたレコードのインナーはアフガニスタンの古来からある楽器の説明など、
とても素晴らしいものだが、それを見せたら、そのインナーの表紙にクルアーンが描かれていて、
これをこういうものに使うのは良くない、と説教された笑
自分が作ったわけではないし、1970年くらいの製造物なので、自分には非はないが、
申し訳ありません、、みたいなムードに。。笑
ともかくやっとペシャワールでレコーディング第一弾完了!
取り巻きも、カーペットも濃い!笑
引き続き旅は続く
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J.A.K.A.M. (JUZU a.k.a. MOOCHY / NXS /CROSSPOINT)
http://www.nxs.jp/
https://linktr.ee/JAKAM
東京出身。15歳からバンドとDJの活動を並行して始め、スケートボードを通して知り合ったメンバーで結成されたバンドEvilPowersMeの音源は、結成後すぐにアメリカのイラストレイターPusheadのレーベル等からリリースされる。DJとしてもその革新的でオリジナルなスタイルが一世を風靡し、瞬く間に国内外の巨大なフェスからアンダーグランドなパーティまで活動が展開される。 ソロの楽曲制作としても米Grand RoyalからのBuffalo Daughterのリミックスを皮切りに、Boredoms等のリミックス等メジャー、インディー問わず様々なレーベルからリリースされる。2003年にキューバで現地ミュージシャンとレコーディングツアーを敢行したのを皮切りに、その後世界各地で録音を重ね、新たなWorld Musicの指針として、立ち上げたレーベルCROSSPOINTを始動。
2015年から始まった怒濤の9ヶ月連続ヴァイナルリリースは大きな話題になり、その影響でベルリン/イスラエルのレーベルMalka Tutiなどからワールドワイドにリリースされ、DJ TASAKAとのHIGHTIME Inc.、Nitro Microphone UndergroundのMACKA-CHINとPART2STYLEのMaLとのユニットZEN RYDAZ、Minilogue/Son KiteのMarcus HenrikssonとKuniyukiとのユニットMYSTICSなど、そのオリジナルなヴィジョンは、あらゆるジャンルをまたぎ、拡散し続けている。また音楽制作のみならず、映像作品、絵本や画集 のプロデュース、野外フェスOoneness Camp”縄文と再生”を企画するなど活動は多岐に渡る。