2012年6月20日~7月7日
Vanヴァンという湖を中心とした街も通過したが、
核実験なども行われていて、被曝の問題もあることを知っていたが、
どこの国も地方に田舎にそういうものを押し付ける傾向があるのは間違いない。
荒涼とした風景。
目指すハッキャーリには何のツテもなかった。
そしてそこは数ヶ月前にトルコ政府から無人飛行機で空爆をされたクルド革命軍の本拠地と言われる場所で、同行したギョウは胃が痛くなるほど恐怖で苦痛を感じていた。
(彼が行きたいと、言っての行動だが、、苦笑)
自分はとにかく行ったみようと、特に思惑もなく、
強いて言えば音を聞けたら、もっと言えばその音を録音できれば、と密かに願いつつ。。
で,
この行きのバスでやけに目の合う女の子がいて、すごく惹かれるものがあった。
それはお互いだったようで、
バスの中でもちょっと話をした。
彼女は英語ができず、自分もトルコ語もアラビア語もクルド語も出来ず、正直会話にならないのだが、それでもうちに是非来てください。
と言われ、わけもわからずお家に招待された。
そこは天国のような平和な牧歌的光景だったが、いきなり庭にいた鶏を捌いてご馳走された。
明らかに、彼女にもこちらに好意があり、自分もあった。
お父さんからも何か覚悟めいたものも感じた。
とにかく英語が誰にも伝わらず、意思疎通が出来ない辛さがあった。
自分も一瞬この地で生きることを想像した。
しかし、それはまだ無理だと思った。
彼女は帰り際泣いていた。
そしてこれをくれた。
クルドの象徴。
今でも大事にしてる。
そしてこの街で唯一英語を喋れる男性から話を聞けた。
彼の息子たちや奥さんもトルコ政府に殺されたり収監されたりしているという。
この場でトルコにおけるクルド問題を語るのは割愛する。
それぞれの見え方もあるので。
しかし、自分が実体験として言えるのは
クルドの人たちは自分にとっては素晴らしい人たちで、
兄弟、姉妹だと強く思ってる。
今、日本ではクルド人がまるで野蛮人のように扱われてるが、
実際このトルコの旅の前に話題の埼玉県のワラビにも行って、数人のクルド人の家族と話したが、みんな謙虚で誠実な人たちだった。
そしてトルコでのクルド人たち(だけでは無い他民族も)に対する扱いが、いかに酷いかという話を各地で聞いた。
当然日本政府としてはトルコ政府と結託してるわけだし、
トルコ政府にとってはクルド民族はずっと目の敵なのは間違いなく、
歴史的、文化的な話も完全に抹消し、無きものにしようとしてるのは明らかで、その陰謀がこの日本にも及んでいると自分は思っている。
要はプロパガンダだ。
それらの隠蔽政策は日本でも常に行われてきた。
アイヌ民族や琉球民族、その他数多く存在した少数民族に対して。
上記はディアルバクルにあるGATE。
万里の長城よりも古いもので当然世界遺産となり大切にされるべきものだが、トルコ政府は完全に無視し、放置してるという。
為政者は自分達の都合のいいように歴史を改竄する。
現在のイスラエルのシオニストのように自分達だけが神に選ばれた民だと言い切ったり、数千年の歴史を教育機関やメディアを駆使し、事実を塗り替えようとする。
(実際に、あるイスラエル高官は堂々と我々は歴史を変えることができる、と発言した)
しかし音には確実な記憶がある。
そこに真の歴史のヒントがある。
そう思ってる。
一泊しかしなかったが、濃厚な体験をした郷愁のハッキャーリからUターンしてイスタンブールに戻る。
帰りのバスで満月を拝みながら、色々と考えた。
12歳の時に買ったCDでStingというシンガーのSister Moonという曲が胸で鳴り響いていた。
https://sodalyrics.com/sting-sister-moon/
Istanbul
東部での光景と全く違う、ヨーロッパを感じるイスタンブール。
そう、海の向こうはギリシャ。
それは現在の東京にも言えることだが、
違う環境を見るといかにそれが西欧化してしまった状況かが、ありありと感じられる。
ともかく早速イスタンブールでの録音。
イーライの大学仲間のKanun (Qanoon)奏者の女性エスラと。
奥深いトルコ音楽の世界。。
色々と基本的なトルコ古典音楽の講義も受けつつ笑
早速本題のインプロで録音スタート。
彼女は普段こういうことをやってないので不慣れで大変だったと思うが、
下記の曲でそれは十分に生かされている。
断片ではあるが、その深淵な精神世界が下記の曲に散りばめられてる。
J.A.K.A.M. SUFI
https://crosspointproception.bandcamp.com/track/j-a-k-a-m-sufi-16b-441khz
スーフィズム的世界は決して男性的なものだけではないと思ってる。
先述したルーミーの詩のように我、性を超えたものに近づくことなのだから。
そして最後のメインイベント。
イスタンブールでの二回目のDJ。
規模は前回のクアトロクラスの大きさではなく、
いわゆる小箱のDJバー。
でも今回はあるイベントを自ら提案した。
それはディアルバクルでも世話になったホギールとセッションをすること。
実はイーライはクルド人に憎悪を持っていた。
それはディアルバクルに行く前に彼から聞いていた。
内容的には彼の幼少の時にあったトルコ大地震の時に
クルド人の盗賊たちが震災で亡くなった人たちの亡骸から腕を切って、時計や指輪を盗んでいたと親や周りから聞いていたからだ。
事実で無いとは言わない。
しかしまさに偏見だと思う。
どの民族にも良い奴もいれば悪い奴もいるのは当然だ。
ともかくその話を聞いて、日本での在日問題を想起させた。
関東大地震の時の例の虐殺だ。
イーライは自分の願いということもあり、快諾とは程遠い、曇った顔で笑、
承諾してくれた。
そして当日ホギールが現場に到着すると、異様な違和感を自分も感じた。
いつもニコニコのホギールも緊張している。
自分の様なハタの人間ですら感じる。
そして自分のDJの中盤からホギールがダフやダラブッカなどのパーカッションで絡んでくる。
決して大人数ではないが、場内にいた人たちはそのサウンドに入っていたと思う。
終わった後彼らが握手をしあってる時、何かをやれた気がして嬉しかった。
自分は当事者でなく、部外者だからこそ、催せた企画だと思う。
自分にとっては彼ら全てが兄弟姉妹なのだから。
WaSalaam Aleikoum Brothers & Sisters
旅は続く
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J.A.K.A.M. (JUZU a.k.a. MOOCHY / NXS /CROSSPOINT)
http://www.nxs.jp/
https://linktr.ee/JAKAM
東京出身。15歳からバンドとDJの活動を並行して始め、スケートボードを通して知り合ったメンバーで結成されたバンドEvilPowersMeの音源は、結成後すぐにアメリカのイラストレイターPusheadのレーベル等からリリースされる。DJとしてもその革新的でオリジナルなスタイルが一世を風靡し、瞬く間に国内外の巨大なフェスからアンダーグランドなパーティまで活動が展開される。 ソロの楽曲制作としても米Grand RoyalからのBuffalo Daughterのリミックスを皮切りに、Boredoms等のリミックス等メジャー、インディー問わず様々なレーベルからリリースされる。2003年にキューバで現地ミュージシャンとレコーディングツアーを敢行したのを皮切りに、その後世界各地で録音を重ね、新たなWorld Musicの指針として、立ち上げたレーベルCROSSPOINTを始動。
2015年から始まった怒濤の9ヶ月連続ヴァイナルリリースは大きな話題になり、その影響でベルリン/イスラエルのレーベルMalka Tutiなどからワールドワイドにリリースされ、DJ TASAKAとのHIGHTIME Inc.、Nitro Microphone UndergroundのMACKA-CHINとPART2STYLEのMaLとのユニットZEN RYDAZ、Minilogue/Son KiteのMarcus HenrikssonとKuniyukiとのユニットMYSTICSなど、そのオリジナルなヴィジョンは、あらゆるジャンルをまたぎ、拡散し続けている。また音楽制作のみならず、映像作品、絵本や画集 のプロデュース、野外フェスOoneness Camp”縄文と再生”を企画するなど活動は多岐に渡る。