スリランカ・イスラエル番外編
スリランカ
2023年3月7日~3月9日
2023年のスリランカで
回想の2018年のイスラエル
昨夜遊んだメンバーからブランチに誘われる。
左の彼がDJでプロデューサーUriah Klapter。右の彼はFortuna RecordsというレーベルオーナーでDJ。名前は失念。。
その右の彼は以前ACID ARABというグループをテルアビブに招聘していて、何度も家に泊まったり交流があったのに、この1ヶ月以内でACID ARABとして、イスラエルのパレスチナへの暴虐に抗議する為イスラエルでは公演を行わないと公式に宣言したことを本当に悲しんでいた。
今回ここに来る数日前、彼らACID ARABは急遽パリに訪れた自分のために即席パーティーを催してくれ、リーダーのGUIDは家にも何日か泊めてくれた。
つまり共通の友人を持つ身として、彼の悲哀は共感できる。
政治が友人関係を引き裂いたのだ。
ちなみにそのACID ARABのGUIDもユダヤ系の血が入ってるので、レイシズム的なものではなく、国家政策に対してのアクションであり、それはとても複雑な感情によるものだと思う。
ともかく彼は昨夜自分の前で涙を流していた。
それはすごくインパクトのあるもので、政治、国家政策でアンチを掲げることで悲しんでいる人を目の当たりにしたことだったからだ。
だから、今もそれはしないように心がけている。
いくら政治のシステムが狂った国でも、全員が狂ってるわけではない。
イスラエルだけでなく、アメリカも中国も。。
ともかく本場のフムス!
自分も我が家で作ってるが、当然洗練と奥深さを感じる。
シンプルなオリーブオイルと塩をメインにしてるのだと思うが、その質が素晴らしいからかとても美味い!
ベーシックにはアラブ的な料理なんだと思うが、見てわかる通り、手ではなく、フォークとナイフで食べるところも一度西欧化を経由してるのがイスラエル的だ。
食事の後、今夜のDJをやる箱Breakfast Clubの付近を歩くと、
うおー!ロスチャイルド ROTHCHILD!!
自分にとっては悪の権化の一つとも言える企業というか一家の名前がつく通り!
しかしイスラエルという国家がこの一家の手が加わらず成立することは絶対になく、ホロコーストで逃れ漂流していたユダヤの民にとっては神にも近い一家だったのだろう。
世界全土にとっては悪でも、一部の人間にとっては正義となるケースは少なく無いのかもしれない。
パラドックスとも言えるこの世界の構造の象徴のような景色。
そしてパーティー前だが、先述したプロデューサーのUriahがうちに来てセッションしようと誘ってきたので、一人でタクシーを使って彼の家まで行く。
テルアビブの若い音楽家の家、スタジオを拝見できるのも興味深い。
彼自体、親父さんが有名なミュージシャンだったようで、その亡きお父さんのレコードもプレゼントしてくれた。
基本ヘブライ語で全く読めないが、音の内容的にはまあ日本にも70年台に多かったアメリカ的ロックで、サウンド的にはそんなに好みでは無いが、詞が良かったのかイスラエルでは誰もが知ってる結構有名なミュージシャンだとAsafからも聞いた。
とにかくジャケはいい感じ。
そして世界中、ミュージシャンやアーティストと呼ばれる人は猫好きが多い。
自分は少年時代にヒヨコを猫に連れ去られた事件があり、それ以来猫と遭遇すると葛藤があったのだが、今は憎しみも消え、愛すまでいかないが、なぜか猫には好かれるので笑、撫でる事ができるくらいには許せるようになった笑
その話はまたいつか。
でも、その許す、というのには時間はかかる。
それは世界規模で考えた時にも。
この星でどれだけの許せないようなことが起きてきたか。
今も。。
出国時空港の免税店で下記のCDを買った。
左の方だ。
右のCDは先述した東京代々木でのパレスチナ支援デモでもかけた『インティファーダ』のCD。
先日自宅のCDを整理していたらたまたま並んでいた。
インティファーダとは
https://ja.wikipedia.org/wiki/インティファーダ
ホロコーストを受けたユダヤ人達はナチスを許せるのか?
ナクバ
https://ja.wikipedia.org/wiki/ナクバ
を受け続けるパレスチナ人はイスラエル人を許せるのか?
パキスタンがインドから独立する時になぶり殺しにあった遺族の悲しみは?
スリランカでのヒンドゥー教徒への虐殺は?
ミャンマーでのロヒンギャに対する蛮行は?
アフリカから拉致され奴隷として世界中に連行された人々の長年にわたる苦しみは?
ポルポト派のあまりにも酷い蛮行は?
チベットやウイグルで今も続く収奪や虐殺、文化破壊は?
南京含め、アジア、沖縄での日本兵の蛮行は?
ある日突然落とされた原爆で全てを失った広島、長崎に住んでいた子供達の魂は?
傀儡政府と世界核産業と電通やメディアが安全だと嘘をついて推進した原発が爆発したことで故郷を奪われたことは?
憎しみは癒され、許すことは出来るのか。
自分が猫に対しての憎しみが消えるまで約30年かかった。
付き合いとしては数日のヒヨコに対する愛憎劇で。
愛してやまない子供や、親や、兄弟を、友人を、恋人を、大切な人々を奪われた人たちの憎しみは、そんなものじゃ無いはずだ。
さあ、そろそろスリランカの熱帯雨林に戻ろう。
昨夜結局見ず知らずのタクシードライバーが来たが、感じのいい青年だったので、明日1日コロンボにいるから運転手してくれないかと交渉すると悪く無い値段でOKしてくれた。
ということで久々の温かいシャワーを浴びれた宿で目を覚ますと、程なく朝食が。
前回の宿より景色も食事の内容も劣るが、それでも美味しいし、家庭的でホっこりする。
パキスタンよりもライスに若干湿度が増してる。
酸っぱい、辛い、甘いもよりヴィヴィッドに。
昨日のタクシードライバーSusiriが11時頃到着予定とのことで、それまで近所を散策してみる。
https://youtube.com/shorts/frNCxb826CQ?feature=share
行きのタクシードライバーもクリスチャンだったし、前回泊まったホテル周辺もクリスチャンエリアだった。
今回のSusiriもそうだし、今回の宿のエリアもそうみたいで、スリランカには割とクリスチャンが多い、ということも今回初めて知った。
自分の母は厳密にはクリスチャンでは無いが、その手の学校に幼少から行っていたみたいで、少女の時代、ミサの時間は静かで好きだったと言っていた。
だから自分は完全にはキリスト教に対して否定的では無い。
しかし、バチカンを筆頭に酷い悪行を重ねてきたエセ神父達は世界を汚してきたのは歴史的事実なので複雑な心境になる。
ともかく
プラプラしてから戻るとSusiriが登場!
かかってる音がいい感じなので音量を上げる!
https://youtube.com/shorts/kk8G5SCHtCk?feature=share
こういう民俗的な音とベースミュージックを混ぜるのは長年やってきたが、ここまで普通にラジオでかかったりする曲をちゃんと生み出せて無いな~と反省したりしながらも気持ちいい!
何故か写真や動画が帰国後に紛失していたが、インスタに挙げていた動画や写真で現地の雰囲気を感じてもらえたら。
https://www.instagram.com/p/CpmTBl3PUvr/?img_index=7&igsh=Yjljd2IwNXgzOHVu
Susiriは30歳くらいで子供、娘が二人いて、色んな話をしながら一緒に音楽を探した。
CDというフォーマットが完全に廃れてしまい、ヴァイナルなんていうのは高級な骨董品で、物質としての音源は第三世界では探すのは相当難しい。
パキスタン、カラチでもそうだったが、欧米人(一部の裕福なアジア人も)の為のモノになり、それは必然的に高価なものになる。
何店舗かCD屋に行ったが、どこもテレビドラマなどのコピーDVDがメインになっていて、店主も音楽はもう売れない商品と判断していてやる気もないし、あっても埃が被ったどうでもいいと言ったら悪いがエセ西洋的なポッポスしかない。
これは第三世界ではよくある話だが、一度海外でいわゆる最先端な音楽シーンを体感し、そこで逆に自分達のカルチャーに気付き、目覚め、そのアイデンティティーを復興するという使命感を感じた次世代が
さっきの様な音を作ってるのだと思う。
Kuweni (කුවේණී) – Ridma Weerawardena ft. Dinupa Kodagoda |
Charitha Atta… youtu.be/iIm4gcybpsI
もう7年前の曲みたいだけどグッとくる。
自分達の民族性や歴史、風土を理解し始めると、それが経済的にも文化的にも侵食され
現在、危機的状況にある事を認識せざるを得ない。
音楽は生活がまともにあった上でしか存在できない危ういものだ。
紛争、戦争、飢餓、貧困状況では成立しない。
しかし音楽的に世界を見ると世界中に特に現在第三世界と呼ばれる場所にも、豊かな民族音楽がたくさんあった事を知る。
現在は?
何故こんなに崩壊の一途を辿ってるのだろうか?
Susiriからの提案で一度うちに来てお茶でも飲んでから車からバイクにチェンジして、再度『音楽』を探そうと。
もちろんOK!
名前は失念したがスリランカではポピュラーなフルーツジュース。
相当ビタミンCが豊富らしいが納得の酸っぱさ!
身体に絶対いい!
改めてノーマークだったスリランカの民族音楽をネットでディグしてたら出会った曲。
Feel The Sounds of Sri Lanka youtu.be/Ayzx9ZFBGKA
昔のFreeFormというアーティストを彷彿させる音楽。
映像も含め良い作品。
そのFree Formというアーティストはドイツ系のプロデューサーだと思うが、ベトナムでフィールドレコーディングをしてこの作品を作っていて、すごくインスパイアされた。
2001年の作品。
Susiriからのおすすめ。
そんなSusiriの実家。
お母さんや奥さん、娘にも会った。
中流家庭なのかな?上流に入るのかな?
ともかく、地代を置いたら、うちの実家よりはゴージャス笑
Susiriはとても優しい青年で色々と話ができた。
特に興味深かったのがこの家は彼の親も含めクリスチャンだが、隣はムスリムだし、その隣はヒンディーだし、その隣は仏教徒だという。
そんなにバラバラに、明確に宗教が違うのに全くトラブル無く長年共存してると言う。
日本はオウム事件以降宗教に対しての恐怖感、嫌悪感が酷く、『宗教にハマってる』という様な表現で信仰する人を卑下する風潮になっている。
自分自体はイスラムという宗教に、信仰というより思考的に多大な影響を受けているが、先述した様に旧約聖書も新約聖書も一応読んでいるし、ヒンドゥー教も、仏教も、キリスト教も、そして当然神道も自分なりに本を読んだり、体験したりして少しは学んできた。
故にそれぞれの観点、大事にしてることを吸収、咀嚼(そしゃく)はしている。
例えに語弊はあるかもしれないが、音楽で言えば、JazzもReggaeもMetalもPunkもHipHopも東も西も南も、アニソンだろうが、クラシックだろうが、どんなジャンルにも良さがあると思っている。
それぞれのジャンルには起爆剤になったオリジネイターがいるし、そのオリジネイターには、そのムーブメントを起こした確実な説得力があると思っている。
フォロワー達はそれを崩し、アップデートしようとはしてるが、自分にとって重要なのはやはりオリジナルだ。
そこには新しい何かを作り出そうとする情熱と葛藤があったはずだ。
だから今のイスラムでも他の宗教でも、オリジナルの人物達に尊敬はあるが、集団や組織になると、それが何十年も、何百年も、何千年も経つと、そのオリジネイター達の解釈が勝手に歪曲され、おかしなことになるのはある意味必然だと思っている。
人類が太古から失敗を繰り返しながら学び、進化の途中にいる、だからこそ世界中の、歴史の中に存在した志高き先人達の、我々もその先の道を歩む、そのルートを常に大事にするというのが重要なのかなと思っている。
そして感覚的、直感や本能を知識とリンクして、後世に何を残すべきか『考える』事が大事なのでは、とも思う。
上記の様な仏像も、完全否定はしないが、
2002年インドにLIFE FORCEというパーティーにDJとして呼ばれた時、一人でガンジス川を拝みにバラナシまで行き、ニセ警察にカモられそうになった経緯から、サールナートというブッダが最初に悟りを開いたというただの空き地に行ったのだが、まさに何も無い、だが自然そのものの中に全てがある、というのを理解できた、貴重な体験となった。
森羅万象。
その豊かさ、美しさは仏像、ましてや金ピカの巨大なものを作るとかでは絶対に無い。
オリジネイターであるブッダことシッタルダは絶対に望んでいないはずだ。
そんな資金があるなら、貧しい民、特に子供達に食事を与えるべきだろうと彼なら思うはずだ。
結局Susiriとは『音楽』自体は見つけれなかったが、音楽を成立させるために最低条件としてある『生活』を感じさせてもらった。
特に宗教が違えど、共存は問題なくできる、という『社会』を見せてくれたのは、本当に良かった。
この旅の結果、2023年11月に『FRAGMENTS』というアルバムをJ.A.K.A.M.名義で出したのだが、そのCDやレコードのインナーにも書いた文章を機会があればぜひ読んでいただきたい。
救いようのない憎しみの渦
戦争、貧困
その暗黒の沼とも言える様な絶望的状況にも屈せず、諦めず、果敢にイスラムの地アフガニスタンで
『いのち』を繋ごうとしたクリスチャン中村哲さんに触発され、半ば衝動的とも言える短期間で決行したこのパキスタンへの旅はスリランカで『光』を見出したのだ。
荒野の中で『未来』『可能性』という『光』を観たのだ。
今起きてるパレスチナなどでの悲劇の多くが、宗教が原因だとするメディアに翻弄されず、『信じること』の強さを失わない様にしたい。
信じること、とは愛することだ。
今も酷い状況にある世界の現状を我が事として想い、
希望を捨てずに共存の鍵を見つけていきたい。
そんな願い、祈りを込めて。
アッサラーム・アライクム(السلام عليكم)
あなたに平安あれ
旅は続く
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J.A.K.A.M. (JUZU a.k.a. MOOCHY / NXS /CROSSPOINT)
http://www.nxs.jp/
https://linktr.ee/JAKAM
東京出身。15歳からバンドとDJの活動を並行して始め、スケートボードを通して知り合ったメンバーで結成されたバンドEvilPowersMeの音源は、結成後すぐにアメリカのイラストレイターPusheadのレーベル等からリリースされる。DJとしてもその革新的でオリジナルなスタイルが一世を風靡し、瞬く間に国内外の巨大なフェスからアンダーグランドなパーティまで活動が展開される。 ソロの楽曲制作としても米Grand RoyalからのBuffalo Daughterのリミックスを皮切りに、Boredoms等のリミックス等メジャー、インディー問わず様々なレーベルからリリースされる。2003年にキューバで現地ミュージシャンとレコーディングツアーを敢行したのを皮切りに、その後世界各地で録音を重ね、新たなWorld Musicの指針として、立ち上げたレーベルCROSSPOINTを始動。
2015年から始まった怒濤の9ヶ月連続ヴァイナルリリースは大きな話題になり、その影響でベルリン/イスラエルのレーベルMalka Tutiなどからワールドワイドにリリースされ、DJ TASAKAとのHIGHTIME Inc.、Nitro Microphone UndergroundのMACKA-CHINとPART2STYLEのMaLとのユニットZEN RYDAZ、Minilogue/Son KiteのMarcus HenrikssonとKuniyukiとのユニットMYSTICSなど、そのオリジナルなヴィジョンは、あらゆるジャンルをまたぎ、拡散し続けている。また音楽制作のみならず、映像作品、絵本や画集 のプロデュース、野外フェスOoneness Camp”縄文と再生”を企画するなど活動は多岐に渡る。